今日の新聞の社説欄に、『イラク支援』というタイトルで、こんなことが述べられていましたのでそのまま引用させていただきます。
『予定通りなら、きょう、イラクの主権はにぎにぎしくイラクに移譲されるはずだった。
1年3ヶ月にわたる占領から解き放たれたイラクの歓呼と、国際社会の祝福に包まれる。米英にはそんな期待もあったに違いない。極度に悪化した治安が、そうした政治的思惑をすべて吹き飛ばした。
それでも、イラク人によるイラク再建が曲がりなりにも歩み出した。先行きは多難としか言いようがないが、新憲法に基づく政府が発足するまでの道筋を誤らせるわけにはいかない。イラクの破綻は世界の不安定につながるからだ。
そういう意味で、日本政府がいち早く暫定政府を承認したことは当然だろう。その一方で、自衛隊の多国籍軍参加を持ち回り閣議で決めた。憲法上の質疑は素通りしたままである。
一連の発言を聞くかぎり、小泉首相の念頭には、イラク復興支援は米国と足並みをそろえることしかないようだが、そうではあるまい。本当に「日本に相応しい支援策」を練り直す必要があるだろう。
そもそも、主権移譲の式典さえままならない混乱の原因がどこにあるのか。米国が開戦の大義とした大量破壊兵器も、フセイン政権と国際テロ組織とのつながりも、いまや「根拠なし」とみるのが常識になりつつある。先制攻撃は国際社会に深刻な亀裂を生んだ。占領下での力の行使は多くの一般人を巻き込み、反米感情を増幅させた。
こうした米国の力づくの単独行動が、国際社会が一致してイラク支援に取り組めない状況を作り出し、テロを招き寄せる結果になったのではないか。
まずは、開戦、占領の誤りと失敗を米国が認める。それがなければ、独仏を含めた国際協調態勢を整えるのはむずかしいだろう。小泉首相は、ブッシュ大統領に説き、独仏にも働きかけるべきだ。緊急課題の治安回復のカギはここにある。
暫定政府のアラウィ首相は主権移譲演説で、日本に感謝の意を表明した。外交辞令ばかりではないだろう。たしかにサマワの自衛隊に対する期待は小さくない。派遣隊員の努力もあるだろう。同時に、過去に日本が非軍事分野で協力してきた“貯金”が生きていることを忘れてはならない。
非軍事こそ日本の得意とするところだ。行政機構の建て直しや、経済復興のための技術者養成など、イラク自立のための支援策はいくらでもある。巨額の拠出金の生かし方も早急に詰めたい。首相は自衛隊一点張りの狭い視野から抜け出すべきだ。』
どうでしょうか?自衛隊に拘る首相。なぜ、そこまで?と思えてならないのですが。