県内自治体に波紋広がる と題して、教諭通勤中事故に使用者責任 任意保険加入「個人任せ」が大半などというタイトルが。
加西市立中学校の教諭がマイカーで通勤途中に起こした交通事故の損害賠償請求訴訟で、加西市に使用者責任を認め、教諭と連帯して賠償を命じた神戸地裁の判決が、兵庫県内の自治体に波紋を広げている。教諭が事故の任意保険に未加入だったことが問題を大きくしており、マイカー通勤者を抱える自治体は、職員らの加入状況を調べるなどの対応に追われる、任意保険はほとんどの自治体で「個人任せ」だったといい、危機管理意識も問われている。
(北播磨総局・中島摩子)
事故は2001年2月16日朝、氷上郡山南町の交差点で発生。自転車の女子高校生が教諭の車にはねられ、重度の後遺症を負った。女子高校生側は一昨年11月、教諭と市、県に対し、約1億3千万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
7月の地裁判決では、中学校の地理的状況から公共交通機関の利用は困難で自動車通勤は必用不可欠ーとし、「学校業務と密接な関係があった」と市の使用者責任を認定。市と教諭に約7千160万円の支払いを命じた。教諭の給与を支給する県については「実質的に指揮監督しているとはいえない」と訴えを退けた。
これに対し、市は「通勤途中は公務外。判決は遺憾」と控訴を表明。市議会も承認したが、控訴への供託金など約9千万円が必要になり、財政面で厳しい事態を招いている。
一方、教諭が任意保険に加入していれば、事情が違ったとの指摘もあり、各自治体のマイカー通勤者への対応がクローズアップされた。
県教委は1968年、「車を保有する職員に対し、任意保険に加入するよう指導を」と教育機関などに通知しているが、「個人の車なので積極的に加入を勧めていなかった」(姫路市)などとする自治体がほとんど。「毎年4月に全職員の加入状況を確認」という加東郡滝野町の例もあるが、極少数派だった。
加西市は今年2月、全職員の保険加入を初めて調査したが、市民から「民間企業なら任意保険加入の調査や指導は当たり前」と厳しい目が向けられた。判決を受けて、近隣の各市町も「早急に加入状況を確認」(西脇市、篠山市)「保険加入を促す」(小野市)とし、県教委も近く通知を出して指導を徹底する方針という。
そんな中、積極的な対策を講じているのが、多可郡八千代町。6月、民間企業の対応に倣った「マイカー通勤管理規程」を新設し、全職員に通知した。
マイカー通勤許可の条件を「対人賠償が無制限の自動車保険に加入」とし、「通勤中の事故は、自己の責任と負担で処理し、町長は一切の責任を負わない」との項目を設定。「規程に反して事故をし、町長が損害を受けた場合、町長は損害賠償を本人に請求する」と定めた。
自治体に思わぬ負担が求められた判決をきっかけに、各自治体ではマイカー通勤者らへの危機管理のあり方の見直しが進む。さらに、職員だけでなく、自治会役員らが行政の会議などに出席する途中の事故、地域の消防団員らが緊急出動中の事故などでの責任はどうなるのかー。今回の判決の波紋は広がり、自治体は緻密な対応を迫られている。。。
都会では考えられないことかも知れないけれど、淡路島の様に、公共交通機関が限られた土地では、こうした問題とは切り離せないのでは?と思いましたので、ここに引用させて頂きました。
事故などは起こそうと思って起こすものではないけれど、加害者になっても、被害者になってもあまり気持ちの良いものではありません。。。