必死で椅子つかむ運転士 時速200キロに未知の揺れとして、新潟烈震の恐怖 新潟からの報告 《上》なる記事を10月25日付新聞で見つけましたので。

 東京発新潟行きの上越新幹線・とき325号は、順調に定刻運転を続けていた。時速200キロ。長岡まであと約8キロの地点に差し掛かったとき、運転士は突然横からの烈風に新幹線が吹き上げられたような大きな揺れを感じた。「地震だ」。とっさにブレーキハンドルをいっぱいに押し込み、非常ブレーキを作動させたのと同時に停電し、室内灯が予備灯に切り替わった。23日午5時56分。新潟中越地震の発生だった。

 直後に新幹線を襲ったのは、体験したことのない強烈な振動。運転士は席から放り出されそうになり、必死で椅子につかまって耐えた。新幹線が1964年に開業して以来、初めての営業運転中の脱線。非常ブレーキ作動から約1分10秒、2.5キロを走行して停止するまで振動は続いた。

 客席で151人の乗客らは「とんでもないことが起こった」と恐怖が沸き上がった。後方の1号車から4号車までは非常灯も消え、1号車は約30度傾き、床に立つのも困難だった。先頭の10号車では、扉の向こうから乗務員が何度も「そんなの分からないよ」とやりとりする声が聞こえ、不安が募った。

 東京のJR東日本本社。「新幹線脱線」の情報は衝撃的だった。脱線情報から、長い「状況確認」の時間が続いた。

 当初の情報は「十両編成のうち、1号車と9号車だけが脱線」。だが、正式な記者会見までの間に判明した情報は「脱線は十両中八両」。この事実が明らかにされた瞬間、報道陣は「エーッ」とどよめき、何人もの記者が速報に駆け出した。

 地震計を張り巡らし、備えは万全なはずの新幹線を襲った直下型地震。「(地震計が感知してから)1秒も2秒もない。瞬時ですから」とJR東日本の常務は話す。

 「これまで地震での脱線は起きず、それなりの自信はあった。だが阪神・淡路大震災級の地震が起きても絶対脱線しない、なんてことは誰も思っていない」と鉄道関係者。現実となった新幹線脱線は“敵”の巨大さを見せ付けた。

 微動で列車制御 停止前に地震到達

新潟中越地震で十両編成のうち八両が脱線した上越新幹線下り「とき」。JR各社は地震発生の際、地震の初期微動(P波)と主要動(S波)の時間差を利用し、列車を自動的に止めるシステムを構築してきた。

 しかし今回のようにP波とS波がほぼ同時に来る直下型地震の場合、列車が停止する前に地震が到達してしまう。直下型対策に取り組む技術陣の苦悩は深い。

 JR東日本によると、約30度傾いた最後尾の1号車は右の上り線側に脱線していた。このため高架橋から落下するという被害は免れたが、そこへ上り列車が差し掛かれば、列車同士の衝突という最悪の事態も起こり得た。

 脱線した列車は地震発生時、時速約200キロで走行していた。非常ブレーキがかかってから列車が停止するまで約70秒。揺れる前には止まっていなかった。

 2001年の芸予地震(震度6弱)、昨年の宮城県連続地震(震度6強)で、新幹線の列車脱線は起きなかった。どのような揺れならば走行している列車が脱線するのか、科学的には完全に解明されていない。

 今回はレールを固定する装置の損壊やレールの損傷が見つかった。これが原因で脱線したのか、脱線した車両が通ったために壊れたのかについて、JR東日本常務は「何とも言えない」と話している。。。

 砂上の楼閣みたいな話?乗客全員が助かったのは奇跡に近いことだったのかな?