暮らしの再建急ぐときだとして、今日の地元紙の社説欄にはこんな風に述べられていました。。。

  『今年末に予定されているイラク本格政権樹立につなぐ移行政府が、28日の国民議会の承諾を得て正式に発足した。

 初の民主投票による国民議会選挙から約三ヵ月。難産の末の組閣である。7つの重要ポストが決まらない「見切り発車」ではあるが、話し合いを重ねて、ここまでこぎつけた努力は評価できる。

 8月からの新憲法の起草、国民投票、総選挙実施と続く新生国家づくりのプロセスは一歩前に進んだといえるだろう。

 移行政府のかおぶれは、民族・宗教宗派が混在するイラクの勢力図を反映して、そのバランスに配慮しているのが特徴だ。

 首脳部の正副大統領と首相、議会議長には、イスラム教シーア派とスンニ派、クルド系がポストを分ける形で就いた。内閣の布陣も、最大与党のシーア派が17人、続くクルド系が8人、スンニ派4人など、勢力均等を最大限に図っている。

 問題は石油、国防、電力相など5つの重要ポストの人選が最後まで決まらず、ジャファリ首相らが当面兼務するという苦肉の策をとったことだ。残る2人の副首相も空席のままで、依然、各派の利害がぶつかり合う調整の難しさをみせている。

 なかでも石油は、その典型例だろう。このポストには、油田地帯を抱えて自治権拡大を求めるクルド系が強く望んでいるが、他宗派がクルド独立を懸念して反発し、協議の継続でひとまず落ち着いた。

 選挙後、クルド系はシーア派と連立政権を組むにあたって、石油相や石油収入の再配分、自治権拡大などを求めていた。それが結局、先送りされたかたちだ。協議が不調に終わった世俗派を今後、どう参加させるかという重要な問題も積み残された。

 空席になっている閣僚の人選を含め、各派の対立を超えた民主国家が建設できるよう、新政府の指導力に期待したい。

 最優先で取り組むべきは、治安回復と停電のない電力の安定供給、雇用の確保などで生活のレベルアップを図ることだ。国民が明日への希望をもってこそ、再発し始めたテロを押さえ込むことが可能になる。

 新政府は発足したが、暮らしに直結する問題が政治家の権力争いで置き去りにされては、政治不信が募るばかりだ。利権追求より安全な暮らしの再建へ、新政府は一日も早く舵を切り替えるべきだ。

 先送りされた数々の難題をめぐって今後、対立がさらに先鋭化する恐れも残る。国際社会も引き続き、イラクの国づくりを注視し、適切な支援をしていきたい。』

 イラク国民に安全と平和が一日も早く訪れます様。。。