今日がシリーズ3回目になる“心のケア 兵庫 四川から”。地元紙表紙を飾るこのタイトルが目を惹きましたので、そのまま引用させていただきます。

 『学校で生徒の暴力行為が増えているー。1月、中国四川省成都市で開かれたセミナーの席上、教師たちから報告が相次いだ。

 被災者4600万人以上といわれる四川省大地震(2008年5月)。セミナーは、被災地で心のケアに携わる人材を育てようと、国際協力機構(JICA)の支援で開かれた。

 「もともとおとなしかった生徒まで、最近は物を壊すなど暴力的になった」。震源地の同省ぶんせん県で、中学校教師を務める陳さんが訴える。校舎は崩壊し、生徒、教師計60人が亡くなった。陳さん自身も2日間、生き埋めになった。

 崩れた学校は、そのまま「地震博物館」として保存される。約千人の生徒は1年間、千キロ離れた山西省の町に集団移転。今はぶんせんに戻ったが、故郷からはまだ離れている。陳さんは「家族や友人を失い、慣れない生活。精神的不安は大きい」と生徒を思いやる。

 中国の専門家は「ナイフで友人を刺すという事件もあった。家庭環境の変化など、地震との因果関係は否定できない」と語る。

 学校現場で、傷ついた子どもとどう向き合うか。四川の課題は、阪神・淡路大震災の被災地と重なる。

 兵庫では、心のケアを必要とする小中学生の数が、地震の3年後まで増え続けた。(県教委調査)。各学校には、子どもに寄り添う専門の教員が配置された。

 「毎日、子どもに百文字の作文を書いてもらい、心の変化に注意した」「一日の終わりにゲームをして、笑顔で帰宅させた」。セミナーでは、兵庫の教師たちが自らの体験を伝えた。もっと教えてーと次々に質問が飛んだ。

 ケアの体制づくりも課題だ。「学校全体で子どもを見守る必要があるのに、心理担当の先生だけに負担が偏っている」と四川師範大の遊永恒教授が指摘し、続けた。「自分は無関係と思っている先生が多すぎる」

 背景には、根強い「受験熱」があるという。カウンセリングで大学に合格できるのかーという空気。遊教授は「無理解な校長への研修が必要。政府もしっかり現場指導を」と強調する。

 セミナーには、その校長や行政幹部もいた。

 四川省の北東、陳西省の小学校校長、安弘さん言う。「自ら参加したのは正解。管理職の理解がないと、なかなか取り組めないだろうから」

 「専門の教師が少ない、と気付かされた」と話したのは、甘粛省天水市秦州区の李美喜・教育局副局長。

 「これまでは教科の先生が兼任で心のケアもすればいい、との考えがあった。体制の整備が必要だ」

 3日間のセミナーに、約100人の教師や医師らが参加した。地元にもどり、この経験をどう生かすか。そこに子どもたちの未来がかかる。   (岸本達也)』

 先日、大阪府出身のご夫妻を訪ねたとき、阪神淡路大震災の話になった。淡路島に住んでいらっしゃったのに、神戸市に住む友人のことが心配で現地を訪れたのは、震災から1ヵ月経ってからだったらしい。

 たった一辺の壁だけになったいくつもの家。反対側から観ると、どこに被害があったの?と思うほど被害が偏っていたとのこと。
 
 食べるものはおろか、水さえ無い劣悪な環境。屋根の下に居られるだけでも幸せに思う状況だったとのこと。

 避難先の学校は、トイレが限られた階にしか無く、高齢者など、夜中の真っ暗な中を移動するのにとても困っていらっしゃったこと。。。などを聴くにつけ、やはり現地での観察をしてみなければ震災は語れないと思った。

 我が家は食器棚が倒壊。なので、結婚祝いに戴いたような高級食器ばかりが微塵になった。ほんの数分の間に。でも、後片付けには丸一日を要してしまった。テレビの前から離れられなかったというのも事実だった。

 目の前に火が迫りながら、救い出すことさえできなかった人たち。。。心に負った傷の深さなど、計り知れないものがあると思う。
 
 将来、必ずくるといわれる大地震。家具の転倒防止なで被害を最小限に食い止めるしか手立ては無い。正直、きてみないと、どういう状況下におかれるか、想像だにできないのだから。